2013年12月26日木曜日

年内最後の…

練習がございました。夕方まで仕事だったので稽古場へタクシーで乗り付け、そこから怒涛の通し練習。主役の二人は別の演奏会へ引っ張られて不在。訳詞も脱稿したばかりという過酷な状況のもと、果たしてこのオペレッタ、何時間かかるのか。台本、長すぎるんじゃないの?という脚本への懐疑の眼差しに囲まれつつ、とにかく前に進むのみ!まあ、どうにかこうにか稽古時間中に収まって私は一安心。どうだ、団員め、参ったか!ハハハハハ!!稽古のあとは忘年会を兼ねての飲み会。遅くまで残らないぞという決意はどこへやら。結局、最後に店を出るグループに混ざって店をあとにしました。年明けからの本格的な演出練習に向けて年末年始は策を練るぞ!

最終練習でした

2013年12月9日月曜日

年の瀬は…

第九でしょう。私の第九初体験は家のスピーカーから流れるフルトヴェングラー指揮バイロイト祝祭管でした。宇宙の漆黒から滲み出るような冒頭開始部分。悠久の大地を思わせる第三楽章。そして歓喜の歌。クラシック音楽に魅了された原初的体験でした。歌唱の困難さにもかかわらず、なぜか初めて合唱にトライするのが第九。最初の本格的登山が富士山というのと似ていませんか。日本人の七不思議の一つかもしれません。私は幸か不幸か、ノーマルな合唱好き日本人の成長過程を辿らなかったためか、第九の合唱を歌ったのはガレリア座が助演出演した40代半ばを過ぎてからでした。「なんてひでえ音楽だ!」それが私の偽らざる感想でした。歌う者にとってあの楽譜はありえないものだと思います。今年も過去2年、ご一緒している綱島第九合唱団のヘルプとして、港北公会堂で第九を歌ってまいりました。合唱指導でメゾのソリストが北澤幸さん、指揮は福留和大さん、テノールのソリストが勝又晃さん、ピアノが児玉ゆかりさん。新宿オペレッタ劇場ファミリー総出の第九演奏会でした。福留君の指揮で歌うので、いつもの新宿オペレッタ劇場とは主客逆転。でもこういう形で歌い手のみなさんと関わるのも楽しいものです。年々、参加者も増え、出来も良くなっているように感じます。私も同じ立ち位置として思うのですが、アマチュアの底力はすごいですね。“音楽”以上の感動を聴衆に与えてしまうのですから。老若男女、本番のやり切った感が素敵でした。

開演前  満員です!

2013年11月22日金曜日

中秋の清里に遊ぶ

所用で山梨へ出かけたついでに清里まで足を延ばしました。真紅の紅葉はあまり見かけませんでしたが、鮮やかな黄色が真っ青な空に映えて、そのコントラストの美しいこと!雲一つない青空に浮かぶ八ヶ岳もまた格別。お昼は清里駅からもほど近いROCKという有名なドイツ風?レストランへ。最近、ダイエットを始めて体質が変化してきたせいか、豆腐やサラダやきのこ等を前菜にして、メインは名物のファイヤードックカレー!高原野菜のサラダと半熟卵を付けあわせに、自家製ベーコンとソーセージ、それにコトコトに煮込んだ濃厚カレーがたっぷり!!でも、残念ながらご飯はほとんど残してしまいました。レストランの近くには、雑貨屋やハーブ屋やオルゴール博物館など、一昔前、清里に女性たちが押し寄せたときの名残のような店が点在していますが、そもそも平日の訪問だったせいか、どこにも人がいませんでした。ROCKで自家製ソーセージやベーコンをお土産に買いこんで、次は清泉寮へ向かいます。ここは70年の歴史を誇る総合宿泊施設。霞んで遠くに薄く眺める富士山も最高で、さらにここのジャージー牛乳とアイスクリームが絶品。本当は現地で食したかったのですが、とにかくもうカレーを残すほど満腹だったため、お土産に買って帰ることにしました。帰りがけには甲府地鶏のお肉と卵を買い込み、なんだか畜産物フェスティバルの様相。もちろん、家族が喜んだことは言うに及びません。

山小屋風ROCK

女子向けのお店が点在

青空に黄葉が映える

ここが清泉寮

清泉寮から望む山並み

八ヶ岳も美しく

2013年11月19日火曜日

やって良かった

前回書いた住吉町生涯学習館のおまつりが終わりました。1時間30分という長い時間をいただき当初は座持ちできるか心配していたのですが、案の定、私のおしゃべりが長引いて、見事、ジャスト90分の一本勝負を制しました。ハハハハ!本番には滅法強いのです。どのユニットも稽古以上の実力を出し切り、なかなか良いできだったと思います。ともすれば“歌うこと”=“発声”という技術に傾いてしまう日本の声楽世界の毒が、アマチュアにはストレートに効いてしまい、西洋クラシック音楽の歌唱にとって極めて重要な要素であるところの“詩”が置いてけぼりになってしまう。詩は大切だよー。詞を意識して欲しいなー。私のそんな危惧感を、メンバーたちも少しだけ感じてくれたのではないかなと思っています。私も長い間、音楽に付き合ってきて、いろいろな事を学びました。その学びが自分の感性や知性を豊かにしてくれました。音楽は私にとって欠くことのできない友となりました。そしてその友は、私の友人たちも豊かにしてくれるのです。友人たちは、いつもと違う宿題に苦しんだでしょう。打上げの宴で見せてくれた、開放された笑顔が殊のほか、印象に残っています。さて、いよいよ私も《シカゴ大公令嬢》へ向けて本格的に腰を上げることにしましょう。

2013年11月7日木曜日

なぜ原語?

ガレリア座が日頃稽古場としてお世話になっている新宿の住吉町生涯学習館で館まつりがあります。11月10日です。お近くの方はどうぞ。無料です。毎年、1時間程度のステージをいただいてメンバーが歌っていますが、今年は少し趣向を変えています。原語唱にチャレンジします。ガレリア座は私の強い思いから通常の公演では日本語訳詞を採用しています。それは、アマチュアである私たちにとって、きちんと意味を理解しながら歌うことが重要だと考えているからです。一方、ヨーロッパの地方歌劇場や大都市の第二歌劇場が現地の言葉で上演していることが(最近はグローバル化が進み、よほどの辺境に行かなければ大体原語で歌ってしまうようになりましたが)、オペラやオペレッタの浸透を助けていることも、ガレリア座が訳詞を採用している要因です。ですが、今回はその禁を破ります。しかも私が頑なに上演を避けているモーツァルトもやります。非常にひねくれた言い方なんですが、私は、やはりオペラは原語で歌うのがいいと思っています。また、モーツァルトをこよなく愛しています。ガレリア座で原語とモーツァルトを避けるのは、私の強い愛情と、そしてそれゆえに私たちがやっても私の欲求が満たされないことが明白だからです。モーツァルトは本当に危険です。へたをすると、とても幼稚な音楽に聞こえます。それは絶対にいやなのです。許せない。原語というのは本当に豊かに表現することができます。日本語が一つの意味を歌うのに数音費やす場合が多いのに、原語では一音でさっと言いたいことを表現できます。詞と音楽は一体でなくてはなりません。原語は当然、それを実現できるのです。ああ、なんて素晴らしい!先日の稽古でメンバーがとても苦しんでいるのを見ました。いつもガレリア座でできることが簡単にはできない、そのハードルの高さを感じてくれているようでした。サディスティックですが、私はやっぱりガレリア座のみんなは音楽に素直なのだと感じました。みんな、適当にクリアして満足しようとしてはいない。本番のお客様には申し訳ないけれど、苦しみの過程で本番を迎えてしまっても全然かまわない、そう、私は思っています。ガレリア座の通常公演では絶対にやりません。スピンオフならではの珍しい様子をのぞきにいらっしゃいませんか。

2013年11月4日月曜日

フィギュアスケートに想う

冬季オリンピック、ソチ大会まで3カ月あまり。競技関係者やマスコミ以外の一般人には、まだどうにもピンと来ません。2020年の東京開催が目立ってしまって、ソチはそっちのけ…駄洒落です…すみません。そんななか、フィギュアスケートのグランプリシリーズが始まって、テレビ放送にも力が入り始めました。冬季大会のなかで日本がメダルに近い種目ですからね。私の関心は当然、女子個人。私の場合、彼女たちの表情とか所作にしか興味が向きません(あ、男子はもちろん対象外)。私に言わせれば、フィギュアスケートにジャンプは不要。何回転跳ぶって、そりゃ曲芸ですよ。美を競うのに不必要な要素です。浅田真央ちゃんが世に注目され始めたころ、卵型のツルンとしたお顔を輝かせ、両手をひらひらさせて滑っている姿は、私には衝撃でした。もうなんとも邪気がない。滑ることの歓びが前面に押し出され、見ている人を幸せな気持ちにさせてしまう、そんな魅力がありました。現在の安藤美姫にはまったく別の魅力を感じます。女子個人3枠に入るかどうかは、当人も気になるところではあるのでしょうが、毀誉褒貶があり、母にもなって、ある種の達観というのでしょうか。彼女、一人の人間として洗練された表情をしているのです。ただひたすらに滑ることに、演じることに集中している、その透徹した美しさ、凛とした佇まいに私は魅了されてしまうのです。先日、テレビのニュースで本田望結ちゃんという子役の女の子がフィギュアスケートの演技をしているのを、たまたま目にしました。彼女はお化け視聴率をたたき出した「家政婦のミタ」で可愛らしい末っ子役を演じ、私もずいぶん泣かされました。その望結ちゃん、じつはスケート一家に生まれ、彼女のフィギュアは、タレント・プロフィールに書くような趣味の域を完全に出ているのです。子役として培った表情と所作がフィギュアの演技に生かされ、真央ちゃんの無邪気さとは全然違う、本物のプロの表情、表現。こりゃ、すごいなと思いました。アスリートがリタイヤして芸能人になるケースはありますが、彼女の場合、あり得ないような逆のルートを進む可能性があるのです。スポーツニュースに取り上げられるようになるには、まだまだ時間がかかると思いますが、いつかはその姿を銀盤の上で目にしたいなあ、と思います。

2013年10月28日月曜日

オペレッタコンクール

10月26日、南大沢文化会館で第2回ウィーン・オペレッタコンクール本選が行われました。実行委員長である黒田晋也先生からお話をいただき、私、審査員の一角を務めさせていただきました。アマチュアのガレリア座主宰として、またプロの舞台を作る新宿オペレッタ劇場の支配人としてアマ部門、プロ部門の両方を予選から楽しく拝見しました。若い方から、アマ部門の高齢にしてお元気に歌い踊られる紳士の方々まで。単純に歌の上手い下手ではなく、オペレッタだからこそ味わいとして評価できる、言ってみれば生き様みたいなものが垣間見えて、充実した時間を過ごすことができました。審査の舞台裏を明かすことはできませんが、プロ部門のときの審査員室はなかなか白熱した議論があり、結局1位を出さないという結論を導きました。私も正直にその結論を支持しています。そして、審査員室の厳しい議論を、本当は出場者の方々には知っていただいた方がいいように思うのです。あくまで誰の発言とか、そういうことではなく、私個人として感じたのは、舞台に立つ人は、誰を相手にしているかをもっと意識してほしい、ということです。誰に向かって歌っているのかということです。とくにパフォーマンスも重視されるオペレッタなら尚更のこと。若い人にそれを求めるのは無理でしょうか。いいえ。芦田愛菜ちゃんや鈴木福君にできることを20歳過ぎの声楽家にできないとは思えません。演じる気の強さ、やりきる度胸、そういう根性を見せてほしかったというのが私の感想です。あと、「こうもり」と「メリー・ウィドウ」のオンパレードは食傷気味でしたね。ちょっと笑いました。私も入口は「こうもり」でした。でもガレリア座で「こうもり」を再演しようとしたらファンの方たちに怒られました。私たちは珍しい作品をやることを世間から期待されているのです。アマチュアなのに…。そこで私はコルンゴルト編曲版「こうもり」を日本初演しました。ファンの皆様に当てつけるように。でもね、そうしたらオリジナルとここが違う!って見破ってくる人がいたんです。しかも、コルンゴルト版と私の演出上の悪戯とをちゃんと選り分けて!すごいですよ。それだけ好きな人がいるんです。そういう人を相手に「こうもり」と「メリー」だけじゃダメでしょう。勉強しましょう。東京オペレッタ劇場音楽監督の角さんが表彰式の後、私と並んで歩いていたら「八木原さんは誰を使いたいと思ってます?」って訊いてこられたんです。角さんも一座を率いている方ですからね。そういう目線、プロデューサー目線で見ていらしたんですね。で、お互い名前を打ち明けました。今は言えませんが、二人とも納得しちゃいました。プロデューサーの目なんですね。何がお客を喜ばせるかということです。しばらく、東京オペレッタ劇場と新宿オペレッタ劇場のキャスティングを見ていればわかると思います。まあ、何はともあれ、オペレッタを盛り上げたい、みんなで頑張りたいという黒田先生のお気持ちがとってもよく伝わってくる素晴らしいコンクールでした。オペレッタ好きの方々、どうぞプロアマ問わず、来年のコンクールにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。 http://www.soleilmusic.com/competition-operetta.html

オペレッタコンクール

2013年10月20日日曜日

どうしてこうなの…?

次回公演のオペレッタ「シカゴ大公令嬢」の台本を練っています。練っていると言っても元の本はあるんです。だから正確には脚色ということになるのでしょうが、その元というのが腹が立つくらいじつにいい加減なのです。どこがいい加減かというと、オチがない。終結のさせ方が悪すぎるのです。ウィンナ・オペレッタならどれをとっても、そう言えるのです。「こうもり」は?と尋ねる向きもあるでしょう。たしかに、「こうもり」はまだとってもマシな方。とはいえ、あなた、「すべてシャンパンのせいなんだ!」で本当に片付くと思いますか?ロザリンデが件の懐中時計をアイゼンシュタインに突きつけるまではドラマです。でも、いったいそこに至るまでの「こうもり」のなかの、どこに“シャンパン”が水戸黄門の印籠の役目をするという伏線が張ってありました?こんないい加減な終わり方、誰も納得できないはずです。もうみんな慣れてしまっているから、それならそれでいいんじゃない、って思っているだけ。普通は「えっ、どうして?何が起こったの?」と思うはずです。そうじゃありません? というわけで、今、私は「シカゴ大公令嬢」の印籠を探しています。第三幕には音楽的に盛り上がるナンバーすらありません。オペレッタ作曲家は誰もがなぜ、三幕を書かないのでしょう。それが劇場を苦しめるのです。そしてこの私を…。

2013年10月13日日曜日

ガレリア座とカールマン

ガレリア座第26回公演はカールマンの喜歌劇『シカゴ大公令嬢』です。カールマンの三本柱と言えば『チャールダーシュの女王』『マリツァ伯爵令嬢』『サーカスの女王』となりますが、このうちガレリア座は初期の頃、『マリツァ』を取り上げています。まったくもって赤面することに、テノールの主役タシロを私が歌い、小さな劇場で2回公演を行ったプロジェクトでした。当時はよほど人材がいなかったのでしょう(笑)。『チャールダーシュ』に関してはガレリア座の中でも「やりたい!」という希望は多いようです。でも、ウィーン・フォルクスオーパー公演で究極のフェリ・バーチ役を務めたシャーンドル・ネメットさんのイメージを越えることが、私にはどうしてもできません。ダンディズムを完璧に演じきった真に究極の演唱。全身からにじみ出る男の哀愁。たとえて言うなら、デル・モナコのオテッロ、カラスのトスカ、フレーニのミミ。誰にも替えがきかないんです。なので残念。ガレリア座ではきっとやらないでしょう。『サーカス』はやってもいいかもしれません。ただ、その昔、京王オペレッタで一度取り上げているんです。そうなると日本初演好きの私としてはどうしても後回しになりますね。カールマンではほかに『モンマルトルのすみれ』を取り上げました。オペレッタ版ラ・ボエームです。八木原、台本長い!というお叱りをいただきながらも、なお座内で再演の希望の強い作品です(でもきっとやらない、私が死んでからどうぞやってください)。ということで『シカゴ』はガレリア座3作目のカールマンということになります。これにはジャズバンドが必要です。『魔笛』の三人の童子のような子供たちも必要です。どんな舞台ができますか。どうぞオペレッタフリークの皆様、楽しみに待っていてください。
kalman

2013年5月24日金曜日

うえの夏まつり

ガレリア座の公演端境期。まあ私の場合、休みということはなく、次回公演の準備に追われるのですが、今回はお誘いをいただいて「うえの夏まつり」というのに参加することになりました。今年で61回目となる伝統ある行事です。7月13日から8月12日まで、上野不忍池周辺でパレードや屋台、氷の彫刻展示など盛りだくさんのメニューが用意されています。ガレリア座の出演は8月7日(水)。水上音楽堂で複数の団体さんと一緒に「クラシック・ライヴ」という催しに参加します。そのための下見ということで水上音楽堂に行ってきました。屋外施設とはいえ屋根はあり、よく響く会場です。舞台前に小さな池があったり、舞台以外にも使えるスペースがあり、なかなか演出家の遊び心をくすぐる構造になっています。チケット販売など詳細はまたHPでご案内させていただきます!

上野の水上音楽堂

2013年5月10日金曜日

つわものどもが…

まさに夢の跡。サントリーホールの熱狂の一日は、まさに夢のような一日でした。 朝いちばん、午前7時30分に到着したサントリーホールはまだとても静かでした。これから始まる一日など何も知らないかのような静けさです。やがて8時30分をめどにガレリア座のメンバーが集まります。みんな気合いの入った表情に見えました。そして8時50分ホール入り。すでに午前7時からは楽器庫で2台のピアノ調律が始まっています。打合せ通り、照明、音響、録画、生け花装飾、ヘアメイク、そしてオケのセッティングと、すべての準備が淡々と進んでいきます。実力の向上もさることながら、この整然とした進行に、私はガレリア座20年の歴史を感じます。リハーサルは11時30分に開始。ここまでは完ぺきな進行でしたが、ここから問題が生じました。私の差配ミスです。リハの開始時刻が定刻だったのに機嫌を良くして、本当なら1曲1曲を途中で切り上げるべき第1部を結構たくさんリハーサルしてしまったのです。この甘さが、第2部、第3部へとずれ込みました。そして「リハーサル終了!」と私がインカムを外したのは、開場予定時刻を10分過ぎた16時10分でした。舞台監督を通して「10分までは待ちます」というホール側からの指示は聞いていました。でも、サントリーホールの素晴らしいところは、その指示以外は演出部に一切プレッシャーをかけず、“席洗い”と呼ばれる座席の最終チェックをはじめとした客入れの準備を暗闇のなかで淡々と進めるのです。そして、私の終了コールと同時にサントリーの舞台スタッフが一斉に本番準備にとりかかり、まさに神業!わずか3分少々でロビー開場を解除して、まるで何事もなかったようにお客様を座席に誘導し始めました。リハ押しとは関係なく5分押し(5分遅くしてという意味)の開演。あとはガレリア座も順調に本番を進めていくことができました。 すべての演奏が20時50分ごろに終わりました。本当に夢の一日でした。 普段以上に実力が出たのではないか…身びいきではなく、正直にそう思いました。 ジューンエコー、ラーク、東大和高校吹奏楽部。賛助団体のみなさんの協力に感謝。 久元祐子さん、高橋博子さん、杉山伸さん、グートルン・ラーバー・プライヒンガーさん、ペーター・ドルフマイヤーさん、菊地美奈さん、北澤幸さん、猪村浩之さん、佐藤一昭さん、神田宇士さん、北村哲朗さん。すべてのゲストの熱演と遊び心に感謝。 スタッフと団員に感謝。そして…下手な私たちに演奏にも拍手を贈ってくださった温かい聴衆のみなさまに感謝。あーあ、楽しかった!

全員集合!

2013年4月26日金曜日

まさかのあと3日

本当はGPもHPも様子を書きたいと思っていました。写真もそのために撮っておきました。でも、サントリーホール公演の規模の大きさと調整関係の複雑さはそれを許してくれませんでした。とにかくここ2週間は忙殺されました。私自身もステージに立つのですが、何を着るのか、まだ決めていないのです。美術監督からは“おまかせ”の一言。ようやく先ほど駐車場の割振りを終えて、関係先への連絡手配を制作スタッフに頼んだところ。まだまだ私の仕事は山積しているのです。明日はサントリーホールに当日券の枚数を伝えなくてはなりません。高津小道具から車椅子が我が家に搬入されます。明後日はいよいよ海外ゲスト二人が来日します。本当にバタバタ。ですからどうか、私が本番のステージで歌詞を忘れても、多少、演技に破綻が生じても、どうぞ温かい目で見てやってください…

2013年4月12日金曜日

サントリーホールとの打合せ

4月11日午前9時55分。サントリーホールの正面玄関前に私を含めて11人のガレリア座スタッフが集合しました。指揮の野町、振付の藤井、制作補の高橋、舞台監督の内藤、受付サブの阿部、そして照明、音響、撮影等の舞台スタッフたち。地下の楽屋入口でパスをもらっていると、そこにサントリーホールのステマネ猪狩さん登場。10年前と変わらない懐かしいお顔です。通常のオケ公演とも異なるガレリア座ならではガラ・コンサート。舞台や客席の至るところを使い、サントリーホールの機材を使い倒して公演をするため、打合せ項目は多岐にわたり、1時間30分に及びました。どこの会場の打合せよりも入念で、お客様と出演者に最高の満足をしてもらおうという姿勢が貫かれています。サントリーホールがまもなく30年を迎えようとするなか、今なお日本最高峰の演奏会場であり続ける理由が、打合せだけでも十分に理解できます。この日は、月1回開かれる無料のオルガン・ランチタイムコンサート。あと2週間もすれば私たちが立つであろうステージを見るべく、数人のスタッフとお邪魔しました。豊かなオルガンの音色に深い感動を覚えつつ、果たして、私たちもお客様に笑顔でお帰りいただくことができるのか…うーん。ま、悩んでも仕方ないかと、アークヒルズのレストランでランチビールを飲んだのでした(笑)。


殿堂サントリーホール
スタッフとともに
ホールのバックヤード

2013年4月1日月曜日

あとひと月

本番29日前の3月31日、午前中にバレエの稽古に立ち合い、偉そうな表現論をぶち上げて、美しい踊り子さんたちを煙に巻きました。11時からは次回公演を決める運営委員会に出席。多くの団員と向かい合う労使交渉の図。めでたく妥結にこぎつけました。ちなみに第25回公演はカールマン作曲の喜歌劇「シカゴ大公令嬢」…おそらく日本初演、です。そのまま午後の演出稽古へ突入し、それなりに各組の成長を見届けて、夜は、私の記憶では「魔弾の射手」以来の使用となる懐かしい豊洲の稽古場へ。リゴレットのマッダレーナを歌っていただくメゾソプラノの北澤幸さんとは、私はこの日がプロジェクト初顔合わせ。幸さんは私がプロデュースする新宿オペレッタ劇場に出演していただいたり、あるいは年末、幸さんが指導する綱島の第九合唱団に私が賛助でおじゃましたりする間柄。リゴレットの四重唱は演奏会でも単独で取り上げられる有名なナンバーですが、私はそれ以上にこの曲がオペラ全体のたいへん重要なカギを握っていると考えています。というのも、マッダレーナは殺し屋である兄のスパラフチレと謀り、金のためにマントヴァ公爵を殺そうとしている。しかし、マッダレーナはこの四重唱で公爵にほれこんでしまい、仕事を果たさなければという兄を説き伏せてまで公爵を救う側に回るのです。それはやがてリゴレットの一人娘ジルダが公爵の犠牲となって命を落とすという展開を迎え、リゴレットが運命を呪うというオペラの主題へ直結するわけです。これこそ、私がこの四重唱をオペラ「リゴレット」のカギと考える理由です。だからこそ幸さんにその表現を委ね、座員ソリストと対峙していただこうと考えました。この日は、幸さん以外にも、「椿姫」組の菊地美奈さん、神田宇士さん、「マリツァ伯爵令嬢」の佐藤一昭先生もおいでになりました。また、合唱団の男声にも頼もしい助っ人がたくさん駆けつけてくださって、感動的な「タンホイザー」を聞くこともできました。だんだんと人が集まり、本番の匂いが漂ってきます。これでこそ“あとひと月”の感じですね。

労使交渉?いえ、運営委員会です

北澤幸さん登場!

マエストロ野町と打合わせ

2013年3月28日木曜日

久元先生のレッスンその2

本番35日前の3月25日は、ピアノ協奏曲を弾く榎本祥子さんと一緒に久元先生の2回目のレッスンに伺いました。前回、デジカメを持たずに行って悔しい思いをしたので、今回は撮影してきました。手前はスタインウェイ、奥がベーゼンドルファー。じつに豪華な稽古場です。あともう1台、リストの愛したピアノ、エラールもいらっしゃいます。本当はさらにショパンの愛したプレイエルもいるのですが、この日は病院行だったそうで不在でした。スタインウェイに榎本さんが座り、ベーゼンドルファーには久元先生。まずは一回、通してみます。前回の稽古がずいぶん生きている演奏になっています。榎本さん、頑張りました。でもね、久元先生のリクエストはまだまだ続きます。ハードルは上がるばかり。少し煮詰まったところで、小学二年生でピアノからリタイアした私が偉そうにアドバイス。「音は真似なくていい!形を盗むんだ!形から行け!」演出家の目で先生の演奏を見ていると、どうも大切なのは手首の柔らかさと腕や身体の使い方にあるようなのです。久元先生が、女性なのに一瞬のきらめくような力強さが表現できるのか。先生の場合、指先に力が入るのはほんの一瞬で、手はいつも柔らかく春風のようにふわふわ動くのです。緊張と弛緩、剛と柔がじつに巧みに使い分けられているのです。これだ!これを真似るのだ!「音なんか間違えていいから、とにかくあの形を真似てやってみて」榎本祥子さんも懸命に励みます。最後の通しは、もちろんまだまだの箇所もあったけど、先生と十分に切り結ぶシーンもあり、なかなか手ごたえのある稽古となりました。気づけばあっと言う間の2時間経過。来月21日のオケ合わせが楽しみです。

スタインウェイ様とベーゼン様

稽古は真剣勝負!

あっと言う間の2時間でした

2013年3月27日水曜日

杉山先生登場!

本番36日前の3月24日、いよいよオーケストラの稽古に杉山先生がおいでになりました。先生は東京フィルハーモニー交響楽団の首席クラリネット奏者。そんな素晴らしい方がどうしてガレリア座管弦楽団のトレーナーなんでしょう。その不可思議さの理由はともかく、先生はその優しく温厚なお人柄のなかに、音楽への愛情と情熱をいっぱい詰めて、よろよろ演奏しているオーケストラを輝けるステージへと導いてくださいます。今回の公演のように古今東西のオペラ、オペレッタが集合していると、どんなプロの方でも指導ができるかというと無理な話。新国立劇場のオーケストラピットにもっとも多く入っている東京フィルだからこそ、豊富な経験が財産となって私たちに届けられるのです。ありがたい話で。この日の稽古はまず、4人の管楽器ソリストによる華麗な協奏交響曲から。ガレリア座では絶対オペラをやらないと私が宣言しているモーツァルトの作曲。指揮者を囲んで、オーボエは当団首席の西野さん、ファゴットは同じく当団首席の服部さん。二人ともガレリア座木管陣の屋台骨を長年支えてくれたプレーヤーです。そしてクラリネットは杉山先生。ホルンは本番を吹くペーター・ドルフマイヤーに代わって当団ホルニストの辻さんが代役を務めてくれました。西野、服部の二人はすでに先生からレッスンを受けてきただけに、なかなか頑張った音を出していました。が、これを支えるオケが重い。とてもモーツァルトの軽やかさに届かない。そこを杉山先生はとても優しく、本当に優しいお言葉であっちをつついたり、こっちをつついたり。とにかく各パートをまんべんなくテコ入れして徐々にモーツァルトらしい表情に近づけていくのです。その修正の仕方は本当に職人の技。聞いているとそれが手に取るようにわかるのです。いつしかガレリア座のモーツァルトもだいぶにこやかな表情へと変わっていきました。それから、第3部で杉山先生とも共演する「カヴァレリア」と「タンホイザー」。オケの難所も先生の我慢強いご指導で何とかクリア。最後は先生もオケのなかに入り、一緒に演奏してくださいました。先生の音楽愛をひしひしと感じつつ、あと、1か月! 頑張らねばと決意を新たにいたしました。

杉山先生を交えてのカルテット

クラリネット杉山先生、ホルン辻

オーボエ西野、ファゴット服部

先生もオケに加わって

2013年3月19日火曜日

6時間30分のマラソン強化練

翌17日は合宿がわりの強化練習が組まれました。会場は座の合宿やGPなどでお世話になっている埼玉県民活動センター、略して“けんかつ”。歌い手とバレエは朝10時に集められ衣装合わせと立ち稽古。幸い、けんかつ小ホールの横いっぱいがサントリーホールのステージの幅と同じ22m。十分に広いスペースを実感しながら稽古ができました。この日最大のハードルは、時間の長さでもなく、稽古量の多さでもなく、我らがマエストロ野町君が不在なこと。世間的にもこの時期とても騒がれたある出来事に関わる重要な任務で、この週末ほとんど仕事缶詰状態。強化練の指揮は「マリツァ伯爵令嬢」のタクトを執ったオーケストラ運営委員長、橋本修一君に託されたのでした。しかし何といっても20周年ガラ・コンサートは曲目の多さと多彩さが魅力と同時に、オケにとっては負担が大きく、指揮者にもいろいろな負荷がかかります。普段はヴァイオリンを弾いている橋本君も汗をかきかき、どうにか練習を実りのあるものに導いてくれました。ありがとう、修ちゃん!ナンバーによっては私の檄が飛んだり、まだまだ課題は山積。あと約ひと月、何とかなるのでしょうか。心配のタネは尽きません。稽古もおしまいに迫った19時ごろ、なんと仕事の片をつけてマエストロ野町が登場。「タンホイザー」の稽古の途中からタクトを受け継ぎ、かなり感動的に強化練を締めくくってくれました。

指揮者代行マエストロ橋本の大活躍!

稽古にも熱が入ります

2013年3月18日月曜日

ゲストも続々と!

この週末はとても気合の入った稽古が続きました。まず16日には音楽稽古に「ホフマン物語」の三重唱を歌うテノールの猪村浩之さん、バリトンの北村哲朗さんをお迎えしました。猪村さんは二期会期待のイケメンテノール。歌はもちろん素晴らしく、さらにテノールらしからぬ真面目で誠実なお人柄で周囲の人をとても気持ちよくさせてくれます。北村先生はガレリア座にとって、とても身近でお世話になっている方です。何人もの団員が先生にレッスンをしていただいています。今回、三重唱の一角を担う当団の榎本は北村先生の門下生。つまり師弟対決(文字通り役柄でも対立関係にあります)というわけです。歌稽古のあと、すぐに立ち稽古もこなし、お二人ともさすがの舞台人です。しかも、稽古回数をもっと入れてほしいとのお申し出があり、急遽、特別練習を組むことになりました。ガレリア座の舞台でも一切手抜きなしの全力投球。本当に頭が下がります。 この日はさらにもう一組。「椿姫」に出演してくださるソプラノの菊地美奈さんとバリトンの神田宇士さんも登場。菊地さんは言わずと知れた二期会エースの実力派ソプラノ。すでに7月の二期会公演「ホフマン物語」ジュリエッタ役に大きな期待が寄せられています。神田さんはバリトン歌手の顔と都立東大和高校の先生の顔を持っています。昨年、ガレリア座が行った学校公演をきっかけにお付き合いが始まり、今回の公演には神田先生が顧問を務める吹奏楽部が「椿姫」で競演します。この組も音楽稽古のあと、すぐに立ち稽古となり、菊地さんから様々な演出上の提案も飛び出して白熱した練習となりました。 こんな稽古のあとは当然、ビール!大塚駅近くで発見された極旨、極安の中華料理で美奈さんを囲んで乾杯!日付が変わるぎりぎりまで飲み騒いだ一日でした。

猪村さん、北村さんとの音楽稽古
お二人とも気合い十分!
菊地美奈さん登場
すぐに立ち稽古へ
次第に気合も入ってきて…
演出のアイディアも飛び出します

2013年3月9日土曜日

春が来た

久々に練習のない休日(といっても世間は普通に働いている日ですが)、3月8日は都内でも23~24℃の最高気温を記録し、まさに春が来た!あまりに気分がいいので近所を散歩してきました。裏の畑には紅梅白梅が咲きそろい、氏神様の貫井神社にも春の様子がいっぱい。近所の小学生たちが下校する声が、いつもより元気で賑やかに聞こえたのも季節のせいなのでしょうか。ガレリア座の本番もいつの間にかすぐそこまで来ているのですね。

梅の花ほころぶ

春を告げる花々

水ぬるむ野川の流れ

地元の氏神、貫井神社

ここも梅がきれい

境内の池には…

亀たちが日向ぼっこ

2013年3月6日水曜日

佐藤先生との初合わせ

場の空気が変わる…3月3日、ひなまつりの日に行われた佐藤先生との初合わせは、まさにこの言葉がぴったりくる、とても素晴らしい稽古でした。ガレリア座10周年にもご登場いただいた佐藤一昭先生。日本のオペレッタ界を現在も牽引するトップ・テノールです。品格、色気、歌いくち、そのどれをとっても彼に勝る歌手を知りません。私たちの稽古場に現れた先生は10年前と変わらず、いや、むしろ若々しいご様子でした。歌っていただくのは先生の十八番でもある「伯爵令嬢マリツァ」タシロのアリア。ジプシーヴァイオリンやダンサーを従えて、心の哀しみを一人歌う、しみじみ系の名曲です。でも今回のガレリア座版は合唱付き。タシロの哀しみを合唱のみんなが共有共感して歌うという設定にしてみました。ジプシーヴァイオリンは贅沢に2本、海外ゲストのグートルンとガレリア座管弦楽団コンミスの山内さんの共演です。もちろん、踊りはガレリア座バレエ団の名花たち。音楽稽古から先生は全力投球。情感たっぷりの歌声がいつもの稽古場を満たし、みんなが先生の歌に集中しているのがわかります。マエストロ野町の言葉を借りれば、自分がいくら言っても表情が変わらないのに、先生が一節歌うだけで、みんな生き生き歌い出す、まったくやってられないよ!プロの歌を間近で聴いたことのないバレエのメンバーが涙ぐんでいたとかいう話も。佐藤先生、「マリツァ」の稽古の後は、「カヴァレリア」と「タンホイザー」の合唱の稽古もお付き合いいただき、さらに一部団員との飲み会にも行かれたとか(私はオーケストラの稽古へ行ったんです…泣く泣く)。とにかく元気、先生の元気をたっぷり分けていただいた一日でした。

佐藤先生登場!

みんなの表情がみるみる変わる

2013年2月28日木曜日

久元先生との初合わせ

ああ、どうしてデジカメを持っていかなかったんだろう!このブログをアップするにあたって、これほど悔しい思いをしたこともなかったほど、その日は印象深い、そして楽しい出来事ばかりでした。ピアニストの久元祐子さん。モーツァルトやシューベルトについては間違いなく日本のピアニストの五指に数えられるピアニスト。CDはもちろん著作も数多く、またおしゃべりを入れたレクチャーコンサートでも人気を博している、話せて書けてのオールマイティなピアニストとしても知られています。私とはもうずいぶん昔からのお仕事つながりなので、あらためて久元先生と呼ぶと「やめてください!」と怒られるのですが、今回、ガレリア座のゲストとしてお迎えするにあたっては間違いなく「先生」。それを実感させる稽古でもありました。2月26日、当団のコレペティトゥアでありアシスタント・プロデューサーでもある榎本さんと中央線に揺られて立川駅まで。そこからタクシーで10分ほどのセレモアつくば本社にあるホールが稽古場です。セレモアの辻副社長のご厚意でお借りできたことに深く感謝申し上げる次第です。このホール、なんとサントリーホールと同じ永田音響設計による作りで、約100席のサロン風。中にはスタインウェイ、ベーゼンドルファーのほかに、アンティークのエラールとプレイエル、都合4台のピアノが置かれています。練習中のホールにお邪魔すると久元先生はそのエラールとプレイエルを紹介がてら弾いてくださいました。プレイエルはショパンの愛した、そしてエラールはリストの愛したピアノ。プレイエルは優雅な音楽向き、でも速いパッセージには向かずリストはエラールを好んだと、さながらレクチャーコンサートの趣で数曲をさわりだけ聞かせてくださるのです。聴衆は私と榎本さんのたった二人。目の前にはその時代のアンティークピアノ。なんと贅沢な時間でしょう!辻さんを交えてお茶をいただいてから、いよいよレッスンです。榎本さんももちろん何種類ものCDを聞き込んで、稽古もいっぱい積んで出かけたのですが、その場で久元先生から提示される音楽的な示唆の奥深いこと!どんな細かいフレーズにもすべて息を通わせ、「こうしてみましょうか。あ、こんな風にもできますよね。どっちにします?両方やってみません?」と本当に優しく、でも妥協することなく音楽を紡いでゆくのです。私が聞いていても、本当にまるで歌を歌うかのように音楽を作っていく。器楽と声楽、まったく同じことだと、いつも感じていることを目の当たりにする稽古でした。時間の過ぎるのを忘れて一通り弾き終えたところで、お腹がすきません?と、グルメの先生のお誘いで国立の焼肉屋へ!絶品のネギタン塩や冷麺をお腹いっぱい食べ、気持ちも胃袋もすっかり幸せになって帰路につきました。本番の緊張感や達成感もいいのですが、私はこうやって音楽を作っていくプロセスがたまらなく好きなんです。プロとアマチュア。音楽という素材を真ん中にして、それを愛好する人間同士が交流する。その贅沢を20周年の記念に楽しんでいます。

2013年2月13日水曜日

日本オペレッタ協会の「ヴェニスの一夜」見ました


日本オペレッタ協会の名誉顧問、演出家の寺崎裕則先生からお電話をいただき、2月8日のゲネプロと、翌9日の本番を見に北とぴあに出かけました。ガレリア座が昨年、ヨハン・シュトラウスの「ヴェニスの一夜」を上演するにあたり、先生にご指導をいただく機会を得たのをご縁に、すっかり先生と仲良くさせていただくようになりました。記憶に新しいこの演目だけに、協会のフェルゼンシュタイン版とガレリア座のコルンゴルト版の違いや、ハンガリー・オペレッタの至宝、指揮者のカタリンさんの音楽作りなど様々な関心を持って見聞きすることができました。舞台上の役者は、最近のオペレッタ協会の主役を担う田代誠さんのウルビノ大公、次回の新宿オペレッタ劇場にも登場願う家田紀子さんのアンニーナをはじめ、オペ協常連の坂本秀明さん、宇佐美瑠璃さん、甲斐京子さん、また懐かしい顔の平田孝二さんなど贅沢なキャスティングが目を引きました。また寺崎先生が必死にお金をかき集めてなんとか再現にこぎつけた素晴らしい衣裳と、先生のお父様、寺崎武男氏の描いた背景幕は、この舞台を語るとき忘れることのできない財産です。
終演後のカーテンコール、いつもと何も変わらない舞台の下手から上手の演者までハイタッチをしていく先生は、その年齢を感じさせない軽い足取りでした。でも、その口から日本オペレッタ協会で上演する大きな規模の作品はこれが最後、あとはNPO法人となってオペレッタの灯を守り続けると、なかば悲壮な宣言がなされたことに動揺した聴衆も多かったのではないでしょうか。
ひとことで言えば“浮世の愉しみ”、聴衆のみなさんが、舞台を産む苦しみなど感じることはありません。いえ、感じさせてはならないのです。でも日本はもちろん、今、世界中のどの劇場でも楽に舞台を制作しているところなど一つもありません。お金を集め、人を集め、聴衆を集める三重苦を背負い、それでもなお舞台をやるという、ばかばかしいほどの情熱がなければ成立しないのです。それをかれこれ35年以上やってきた気の遠くなるような寺崎先生の情熱を私は尊敬してやみません。私もその大きな背中を見ながら舞台を作ってきたのです。楽日の幕が閉じたあと、先生は何を思い、何を感じたのでしょう。あんなに楽しい音楽だったのに、あまりにも重く、そして切ない幕切れ…。でも、先生はそんなセンチメンタルなんか、これっぽっちも浸ってないのかもしれません。次は何をやろう、何を仕掛けようと頭の中をくるくる回しているのかもしれません。フェルゼンシュタインやポクロフスキーのように考えているのは舞台のことだけ。さて、日本オペレッタ協会はどこへ舵を切るのでしょう。

恒例!寺崎先生を囲んで

2013年1月31日木曜日

白馬亭にて

もう少しザルツブルクの話にお付き合いを。ザルツブルクという町は、モーツァルトやクラシック音楽に関心がなければ、1日の滞在で、だいたいの場所を見て回れる小さな町です。お城(ホーエン・ザルツブルク城)→大聖堂→ゲトライデ・ガッセ(旧市街中心部)→モーツァルトの生家→ザルツァッハ川を渡って→庭園。まあこんなものでしょう。でも、もしお時間があるようなら、郊外の湖水地方ザルツカンマーグートに行かれることをお勧めします。車で30分も走れば、山々の間にある美しい湖たちが見えてきます。なかでも最大の湖がヴォルフガング湖。そのほとりにザンクト・ヴォルフガングというこじんまりした町があり、中心に白馬亭という名の五つ星リゾートホテルがあります。ザルツブルクと音楽の関係で言えば、まずはモーツァルト、次にミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」、そして知名度は下がるもののオペレッタ「白馬亭にて」は立派にこの町の音楽遺産となっています。ラルフ・ベナツキーというオペレッタ作曲家が作った「白馬亭にて」は、まさにこのホテルを舞台とした、女主人と給仕長の恋の物語。風光明媚なこの土地の素晴らしさを余すところなく描き出したリゾート・オペレッタなのです。残念ながらオーストリアでもドイツでも上演機会がまれなため、実際の舞台を見ることは難しいかもしれません。かつて日本オペレッタ協会の上演もありましたが、それも2003年が最後。でも、とにかく楽しい音楽がいっぱいで、一度耳にすれば好きになること請け合いです。実際の白馬亭は、数年前に新館が完成し、私の好きだった瀟洒な旧館の受付は移動してしまいました。どの部屋も少しずつ調度が異なり、毎回、どんな部屋に通されるかとても楽しみです。ヴォルフガング湖水面に浮かぶ温水プールや屋内プールで冬でも快適にひと泳ぎ。お腹を空かせて向かうメイン・ダイニングでは、紳士然とした給仕長がオペレッタさながらに手厚いサービスをしてくれます。機能的な日本のホテルとはひと味もふた味も違う白馬亭。夢のオペレッタの現存する舞台。ザルツブルクにおいでの際は、一泊余裕をもって行かれてみてはいかがでしょうか。

絶景ザルツカンマーグート
ヴォルフガング湖畔の白馬亭
左の赤が新館、右のピンクが旧館
今回のお部屋は
ベッドルーム内にジャグジー風呂
客室401号室
冬は人通りも少なく
夢のように美しい
テラスから望む朝靄の幻想的風景