2013年1月31日木曜日

白馬亭にて

もう少しザルツブルクの話にお付き合いを。ザルツブルクという町は、モーツァルトやクラシック音楽に関心がなければ、1日の滞在で、だいたいの場所を見て回れる小さな町です。お城(ホーエン・ザルツブルク城)→大聖堂→ゲトライデ・ガッセ(旧市街中心部)→モーツァルトの生家→ザルツァッハ川を渡って→庭園。まあこんなものでしょう。でも、もしお時間があるようなら、郊外の湖水地方ザルツカンマーグートに行かれることをお勧めします。車で30分も走れば、山々の間にある美しい湖たちが見えてきます。なかでも最大の湖がヴォルフガング湖。そのほとりにザンクト・ヴォルフガングというこじんまりした町があり、中心に白馬亭という名の五つ星リゾートホテルがあります。ザルツブルクと音楽の関係で言えば、まずはモーツァルト、次にミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」、そして知名度は下がるもののオペレッタ「白馬亭にて」は立派にこの町の音楽遺産となっています。ラルフ・ベナツキーというオペレッタ作曲家が作った「白馬亭にて」は、まさにこのホテルを舞台とした、女主人と給仕長の恋の物語。風光明媚なこの土地の素晴らしさを余すところなく描き出したリゾート・オペレッタなのです。残念ながらオーストリアでもドイツでも上演機会がまれなため、実際の舞台を見ることは難しいかもしれません。かつて日本オペレッタ協会の上演もありましたが、それも2003年が最後。でも、とにかく楽しい音楽がいっぱいで、一度耳にすれば好きになること請け合いです。実際の白馬亭は、数年前に新館が完成し、私の好きだった瀟洒な旧館の受付は移動してしまいました。どの部屋も少しずつ調度が異なり、毎回、どんな部屋に通されるかとても楽しみです。ヴォルフガング湖水面に浮かぶ温水プールや屋内プールで冬でも快適にひと泳ぎ。お腹を空かせて向かうメイン・ダイニングでは、紳士然とした給仕長がオペレッタさながらに手厚いサービスをしてくれます。機能的な日本のホテルとはひと味もふた味も違う白馬亭。夢のオペレッタの現存する舞台。ザルツブルクにおいでの際は、一泊余裕をもって行かれてみてはいかがでしょうか。

絶景ザルツカンマーグート
ヴォルフガング湖畔の白馬亭
左の赤が新館、右のピンクが旧館
今回のお部屋は
ベッドルーム内にジャグジー風呂
客室401号室
冬は人通りも少なく
夢のように美しい
テラスから望む朝靄の幻想的風景

2013年1月23日水曜日

そしてグートルンと会う

グートルン・ラーバー・プライヒンガー。彼女は私の妹が所属するザルツブルク・トイハウス劇場の同僚であり、今、ヨーロッパで大注目のミヒ・ガイグ率いるオルフェオ・バロック・オーケストラのヴァイオリニストでもあります。彼女と私は一緒に仕事をしたことがあります。それは、クラシック音楽の祭典として日本のゴールデンウィークにすっかり定着した“ラ・ファル・ジュルネ・オ・ジャポン(「熱狂の日」音楽祭)”。2008年に“シューベルトとウィーン”をテーマに行われたこのイベントに、梶本音楽事務所からの依頼を受け、私が中に立って、子どものためのワークショップの制作をトイハウス劇場に依頼しました。その折、グートルンも初来日を果たし、子どもたちと楽しい時間を過ごしました。なおプチ情報ですが、グートルンのお姉さんもヴァイオリニスト。ウィーン・フィルのメンバーで、今年のニューイヤーコンサートでもしっかりテレビに映っていました。さて、そのグートルン、気さくで優しい三児の母。ちなみに長男はグスタフ。次男はアントン。そう!マーラーとブルックナーですね!でも全然、そんな意図はないそうです。グートルンは痩身なのにとってもパワフルな音楽を奏でます。ガレリア座のコンサートでは佐藤先生の情熱的な歌との競演がとっても楽しみ。モーツァルテウム管弦楽団の客演としても演奏機会の多いグートルンが、ガレリア座オケの弦楽パートに入ってどんな化学反応を示すのか、期待は大きくなるばかりです。最後にグートルンからガレリア座のメンバーとお客様にメッセージ。「サントリーホールで皆さんとお会いし、演奏できるのを楽しみにしています!」


グートルンと私

グートルンの所属するOBO

2013年1月21日月曜日

まずはペーターと会う

10年前、ガレリア座創立10周年ガラコンサートを開催したとき、どうしても目玉になるゲストを招きたくて、私の妹のつながりから、当時、ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団の首席ホルニストだったヨハネス・ヒンターホルツァー氏にお声をかけました。ヨハネスは若いのに技術と音楽性に優れ、人柄も素晴らしく、来日してから本番までの間に座のホルンパートメンバーにクリニックを開いてくれるなど、とにかく私たちアマチュアとの交流を心から楽しんでくれました。そのヨハネス、現在はミュンヘン音大の教授職。後進の指導にあたるのはもちろん、得意のバロックホルンを引っ提げてメゾソプラノのチェチーリア・バルトリと世界ツアーをしたり、とにかく大忙しなのです。もちろんガレリア座20年目のおまつりに来てもらえないか打診をしたのですが、日程が合わず残念。そのかわりと言ってはなんですが、優秀なお弟子さんを紹介してくれました。それが、ペーター・ドルフマイヤー氏です。現在、もちろんモーツァルテウム管弦楽団(現地日本人の間では“モツオケ”)に所属し、夏にはウィーン・フィルにも客演したとのこと。そのペーターとは年明けすぐ、ザルツブルク旧市街にあるキュンストラーハウス(芸術家の家)のカフェで会いました。それなりに緊張して待っていると、とってもカジュアルな格好で楽器をひょいと抱えて現れたペーター。とても若い!わりと年長に見えることを差し引いてもこれは結構若い!というのが私の第一印象でした。聞けば弱冠23歳!それで所属3年目ということは、なんと20歳にしてモツオケ入団!しかも、すでにウィーン・フィルの客演も4、5回になるとのこと。まさに俊英です。でもとってもいい人。今回が初来日なのでとても楽しみ。しかもサントリーホールで演奏できるのは光栄です、とのことでした。ザルツブルク州立劇場のピットにも入るペーターは、アマチュアのオペラオケ、ガレリア座管弦楽団にも興味津々。交流できるのを楽しみにしていると言ってくれました。20周年ガラ第二部では東京フィル首席クラリネットで当団トレーナーの杉山先生と、オーボエ西野、ファゴット服部との協奏交響曲を、第三部ではガレリア座管弦楽団のホルンのトップを吹いてくれることになっています。将来は間違いなくソリストか、ヨーロッパ・メジャーオケのトップになることは確実のペーター。一般のクラシックファンの方も、押さえておいていただいて絶対損はありませんよ!

ペーターと私

州立劇場ピットのペーター「こうもり」を吹く

2013年1月18日金曜日

年始をザルツブルクにて過ごす

妹がオーストリアのザルツブルクに嫁いでいる関係で、年末年始はかの地で過ごすとこが多くなりました。今年の年明けももちろん。思えば「紅白」「行く年来る年」も、もう何年も見ていません。AKB48やももいろクローバーZの仕事納めを見られないのだけが心残りであります。ザルツは例年になく暖かい年始を迎えました。雪もなく、厚手のコートを着る必要もありません。ただしスカッと快晴という日は少なく、だいたい曇天。結構、雨にも降られました。音楽会は。元旦にカメラータ・ザルツブルクのニューイヤーコンサートを、3日に州立劇場の「こうもり」を見に行きました。カメラータは昨年秋のハインツ・ホリガーに率いられた日本ツアーが好評だったそうで、聞きに行った方もいらっしゃるのではないでしょうか。打楽器のプレイヤーが私の知り合いで、日本ツアーはなかなかの強行軍だったと話してくれました。カメラータのニューイヤーは“そりすべり”のテーマで集められた珍しい作品の数々やバロック・ダンスが舞台上で披露されるなど趣向を凝らしたもの。2時間を超える長丁場を、「ドナウ」も「ラデツキー」もないのに飽きることなく見せて聴かせてくれました。州立劇場の「こうもり」は現代的演出ながら、趣意を踏まえた楽しい演出。アイゼンシュタインとファルケの第一幕の陽気な二重唱では早くもバレエの踊り子たちがセクシーな衣装で登場して盛り上げたり、第二幕のオルロフスキー亭はどう見ても“ルフトハンザ”の飛行機にしか見えない作りで“ドイツらしさ”を強調したりと、なかなか凝ったつくりでした(演出アンドレアス・ゲルゲン)。音楽会の愉しみのほかに、今回の私の旅行には使命がありました。それはガレリア座のガラコンサートにお招きするゲストの二人、ヴァイオリンのグートルンとホルンのペーターに会って、出演について詳しい相談をすること。グートルンとは知り合いですが、ペーターとは初コンタクト。緊張の会談の模様は…次回をお楽しみに!

近所の公園から望むウンタースベルク

ホーエンザルツブルク城

ヘルブルン宮殿

カメラータのニューイヤー

州立劇場のカーテンコール

毎年訪れる白馬亭