2013年10月28日月曜日

オペレッタコンクール

10月26日、南大沢文化会館で第2回ウィーン・オペレッタコンクール本選が行われました。実行委員長である黒田晋也先生からお話をいただき、私、審査員の一角を務めさせていただきました。アマチュアのガレリア座主宰として、またプロの舞台を作る新宿オペレッタ劇場の支配人としてアマ部門、プロ部門の両方を予選から楽しく拝見しました。若い方から、アマ部門の高齢にしてお元気に歌い踊られる紳士の方々まで。単純に歌の上手い下手ではなく、オペレッタだからこそ味わいとして評価できる、言ってみれば生き様みたいなものが垣間見えて、充実した時間を過ごすことができました。審査の舞台裏を明かすことはできませんが、プロ部門のときの審査員室はなかなか白熱した議論があり、結局1位を出さないという結論を導きました。私も正直にその結論を支持しています。そして、審査員室の厳しい議論を、本当は出場者の方々には知っていただいた方がいいように思うのです。あくまで誰の発言とか、そういうことではなく、私個人として感じたのは、舞台に立つ人は、誰を相手にしているかをもっと意識してほしい、ということです。誰に向かって歌っているのかということです。とくにパフォーマンスも重視されるオペレッタなら尚更のこと。若い人にそれを求めるのは無理でしょうか。いいえ。芦田愛菜ちゃんや鈴木福君にできることを20歳過ぎの声楽家にできないとは思えません。演じる気の強さ、やりきる度胸、そういう根性を見せてほしかったというのが私の感想です。あと、「こうもり」と「メリー・ウィドウ」のオンパレードは食傷気味でしたね。ちょっと笑いました。私も入口は「こうもり」でした。でもガレリア座で「こうもり」を再演しようとしたらファンの方たちに怒られました。私たちは珍しい作品をやることを世間から期待されているのです。アマチュアなのに…。そこで私はコルンゴルト編曲版「こうもり」を日本初演しました。ファンの皆様に当てつけるように。でもね、そうしたらオリジナルとここが違う!って見破ってくる人がいたんです。しかも、コルンゴルト版と私の演出上の悪戯とをちゃんと選り分けて!すごいですよ。それだけ好きな人がいるんです。そういう人を相手に「こうもり」と「メリー」だけじゃダメでしょう。勉強しましょう。東京オペレッタ劇場音楽監督の角さんが表彰式の後、私と並んで歩いていたら「八木原さんは誰を使いたいと思ってます?」って訊いてこられたんです。角さんも一座を率いている方ですからね。そういう目線、プロデューサー目線で見ていらしたんですね。で、お互い名前を打ち明けました。今は言えませんが、二人とも納得しちゃいました。プロデューサーの目なんですね。何がお客を喜ばせるかということです。しばらく、東京オペレッタ劇場と新宿オペレッタ劇場のキャスティングを見ていればわかると思います。まあ、何はともあれ、オペレッタを盛り上げたい、みんなで頑張りたいという黒田先生のお気持ちがとってもよく伝わってくる素晴らしいコンクールでした。オペレッタ好きの方々、どうぞプロアマ問わず、来年のコンクールにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。 http://www.soleilmusic.com/competition-operetta.html

オペレッタコンクール

2013年10月20日日曜日

どうしてこうなの…?

次回公演のオペレッタ「シカゴ大公令嬢」の台本を練っています。練っていると言っても元の本はあるんです。だから正確には脚色ということになるのでしょうが、その元というのが腹が立つくらいじつにいい加減なのです。どこがいい加減かというと、オチがない。終結のさせ方が悪すぎるのです。ウィンナ・オペレッタならどれをとっても、そう言えるのです。「こうもり」は?と尋ねる向きもあるでしょう。たしかに、「こうもり」はまだとってもマシな方。とはいえ、あなた、「すべてシャンパンのせいなんだ!」で本当に片付くと思いますか?ロザリンデが件の懐中時計をアイゼンシュタインに突きつけるまではドラマです。でも、いったいそこに至るまでの「こうもり」のなかの、どこに“シャンパン”が水戸黄門の印籠の役目をするという伏線が張ってありました?こんないい加減な終わり方、誰も納得できないはずです。もうみんな慣れてしまっているから、それならそれでいいんじゃない、って思っているだけ。普通は「えっ、どうして?何が起こったの?」と思うはずです。そうじゃありません? というわけで、今、私は「シカゴ大公令嬢」の印籠を探しています。第三幕には音楽的に盛り上がるナンバーすらありません。オペレッタ作曲家は誰もがなぜ、三幕を書かないのでしょう。それが劇場を苦しめるのです。そしてこの私を…。

2013年10月13日日曜日

ガレリア座とカールマン

ガレリア座第26回公演はカールマンの喜歌劇『シカゴ大公令嬢』です。カールマンの三本柱と言えば『チャールダーシュの女王』『マリツァ伯爵令嬢』『サーカスの女王』となりますが、このうちガレリア座は初期の頃、『マリツァ』を取り上げています。まったくもって赤面することに、テノールの主役タシロを私が歌い、小さな劇場で2回公演を行ったプロジェクトでした。当時はよほど人材がいなかったのでしょう(笑)。『チャールダーシュ』に関してはガレリア座の中でも「やりたい!」という希望は多いようです。でも、ウィーン・フォルクスオーパー公演で究極のフェリ・バーチ役を務めたシャーンドル・ネメットさんのイメージを越えることが、私にはどうしてもできません。ダンディズムを完璧に演じきった真に究極の演唱。全身からにじみ出る男の哀愁。たとえて言うなら、デル・モナコのオテッロ、カラスのトスカ、フレーニのミミ。誰にも替えがきかないんです。なので残念。ガレリア座ではきっとやらないでしょう。『サーカス』はやってもいいかもしれません。ただ、その昔、京王オペレッタで一度取り上げているんです。そうなると日本初演好きの私としてはどうしても後回しになりますね。カールマンではほかに『モンマルトルのすみれ』を取り上げました。オペレッタ版ラ・ボエームです。八木原、台本長い!というお叱りをいただきながらも、なお座内で再演の希望の強い作品です(でもきっとやらない、私が死んでからどうぞやってください)。ということで『シカゴ』はガレリア座3作目のカールマンということになります。これにはジャズバンドが必要です。『魔笛』の三人の童子のような子供たちも必要です。どんな舞台ができますか。どうぞオペレッタフリークの皆様、楽しみに待っていてください。
kalman